2015年(平成27年)以降、登録販売者の資格試験を受けるのに実務経験は必要なくなり、誰でも受験できるようになりました。
その代わり、合格後実際に資格者として働く場合には、実務・業務経験の有無によって「正規の登録販売者」と「研修中の登録販売者」という2種類に分けられます。
この実務・業務経験というのがちょっとややこしいので、今回はよくある疑問についてまとめてみました。
特にこれから資格を取る方や、資格はあるけれど登販として働いていない方、業務経験にブランクのある方にはぜひ知っておいていただきたいと思います。
研修中の登録販売者と、正規の登録販売者の違い

研修中はひとりでお薬の販売をしたり、店舗管理者等になることができません。
登録販売者試験に受験資格はありませんので、試験に合格し、従事登録を済ませれば誰でも登録販売者として働くことは可能です。
ただし、正規の登録販売者として一人立ちするためには、一定の実務・業務経験を積む必要があります。
条件を満たさない登録販売者は、研修期間中として扱われ、薬剤師や正規の登録販売者の指導の元で販売業務に従事することになります。
研修期間中の登録販売者は、店舗販売業における管理者・管理代行者あるいは、配置販売業における区域管理者になることができません。
正規の登録販売者になるためには

正規の登録者として認められるには、直近5年間のうち2年以上の実務・業務経験が必要になります。
この「5年間のうち2年」という期間についてですが、重要なポイントが2点あります。
まずひとつめ。
経験として認められるのは「過去5年間」のもの、つまり「直近の」5年間の中で規定以上の経験が必要という点。
それより前の実務・業務経験は考慮されないので、正規の登録販売者と認められるためには、ずっと継続して規定以上の業務期間を維持しなければいけません。
休職や転職などでブランクが長くなってしまい、規定を満たさなくなれば、また「研修中」に戻ってしまいますので注意が必要です。
そしてふたつめのポイント。「2年以上」という経験期間の具体的な計算方法についてです。
これは単純に勤務時間や日数の合計ではなく、「月に80時間以上働いた期間の合計」という基準が設けられています。
80時間以上勤務した月が、直近5年の中で合計して2年間(=24ヵ月分)あれば、連続していなくてもかまいません。
具体的にどんな経験が認められるの?

薬局やドラッグストアなどで、
① 薬剤師・登録販売者のもとで働いた期間
② (資格を取った後)登録販売者として働いた期間
このどちらかが必要になります。
より具体的に言うと、
- 一般従事者として、薬剤師・登録販売者の管理下で実務に従事した期間
- 登録販売者として、薬剤師・登録販売者の管理下で業務に従事した期間
- 登録販売者として、店舗管理者又は区域管理者の業務に従事した期間
- 平成27年5月31日までの間に、既存配置販売業者の配置員として実務に従事した期間
これらの期間を合計して、2年以上が必要になります。
…ちょっと堅苦しくてわかりづらいかもしれませんが、薬剤師さんや正規の登録販売者の方がいて、市販のお薬を取り扱っているお店で販売に関わった経験があれば、上記1の条件にあてはまります。
薬局やドラッグストアのほか、スーパーやコンビニ、各種量販店など、許可を得て医薬品を売っているところなら基本はどこでも大丈夫。
勤務時間が月80時間以上という条件をクリアしていれば、アルバイトやパートでも問題ありません。
「実務経験」と「業務経験」の違いって?

「実務経験」は登録販売者になる前に薬局・薬店などで働いた経験。
「業務経験」は登録販売者として働いた経験を言います。
先ほどから実務経験・業務経験と分けて書いてきましたが、
「実務経験」は登録販売者になる前に薬剤師・登録販売者のもとで販売業などに従事した期間。
「業務経験」は資格取得後に登録販売者として働いた期間のことです。
このあたりごっちゃになっている資料もたびたび見かけますが、一応厚労省の規則にならってこの記事では分けて書かせていただきました。
これら2つを合わせた期間が規定以上であれば、正規の登録販売者となることができます。
資格取得前に実務経験がある場合

実務経験期間が規定以上あれば、資格取得後すぐに正規の販売者になれます!
登販試験合格前からすでに実務経験期間が規定以上あれば、研修期間なしですぐに正規の登録販売者になることができます。
従事登録後すぐに店舗管理者や管理代行者になることも可能です。
月の途中で他店舗に異動したり、転職した場合はどうなるの?

転職の場合、前の職場の経験と合算はできません。
同一業者であれば、複数店舗での経験が認められる場合もあります。
ここもちょっと注意が必要なポイントなのですが、月の途中で転職した場合、基本的に同一月内で複数の職場での実務・業務期間の合算はできません。
ただし、同一業者の複数店舗で業務に従事した場合、すでに管理者要件を満たしている正規の登録販売者に限り、合計で80時間を超えれば業務経験として認められます。
(※業務を行った店舗数があまりにも多いときは、証明資料などが求められる場合もあります。)
登販資格のない一般従事者や、研修中の資格者の場合は、ひとつの店舗で継続して80時間以上の経験がないと認められません。
ちなみに月単位での計算なので、今月A店で80時間以上勤務⇒翌月B店で80時間以上勤務、であれば問題ありません。
平成26年度以前に資格を取った方は注意!経過措置期間について

2020年3月で経過措置期間が切れます。
現在管理者・代行者になっている方はご注意を!
平成27年(2015年)4月の登録販売者制度改正によって、実務・業務経験の規定が新たに設けられた際、それ以前に資格を取っていた方に関しては、「経過措置期間」というのが設けられました。
簡単に言えば、実務・業務経験が足りなくてもしばらくは店舗管理者等でいてもいいよ、という期間ですね(ざっくり)。
しかしこの経過措置期間、残念ながら2020年(令和2年)3月末で終了となっています。
ブランクのある方や時短勤務の方などは、改めて基準を満たしているかの確認をおすすめします。
まとめ

登録販売者の管理者要件は細かい条件がいろいろあるので、少々長くなりましたが、
特に重要と思われるポイントについてまとめてみます。
- 直近5年間のうち、合計で2年分の経験が必要
- 期間は「1ヵ月に80時間以上勤務した月の合計」で計算
- 資格取得前と後の経験は合算される
- 一般従事者・研修中は、同一月中ではひとつの店舗で80時間の勤務が必要
- 経過措置期間は2020年3月末まで
以上、すでに登録販売者として働いている方も、これから登録販売者を目指す方も、参考にしていただければ幸いです。
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