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調剤薬局についてのよくある疑問に答えます

ノートに書かれた「Q&A」の文字医療・福祉系資格

皆さん、調剤薬局って利用したことありますか?

健康な方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、病院やクリニックで薬が処方されると、最近はほとんどの場合調剤薬局で薬をもらうことになりますよね。

薬局を利用してみて、疑問に思うこと、不満に思うこと、いろいろあると思います。

「なんでこんなこといちいち聞くの?」
「なんでこんなに待たされるの?」


急いでいる時など、理由がわからずイライラしてしまうのも無理はありません。

でも実はその質問や待ち時間にも、ちゃんとした理由があるのかも…?

今回は、調剤薬局事務経験者である筆者が、調剤薬局を利用するときによくある疑問についてお答えします。

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薬局選びについて

処方せんをもらったんだけど、薬局ってどこを選べばいいの?

結論から言うとどこでもいいです。

患者さんは自分の意思で薬局を自由に選択することができます。
どこの医療機関でもらった処方せんであっても、好きな場所で薬を受け取ることが可能です。

遠方の病院でもらった処方せんを近所の薬局に出したからといって断られたりすることはありませんので、ご安心ください。

調剤薬局は病院・クリニック・診療所などとは全く別の独立した医療機関です。
よく病院の目の前に薬局があって、「門前薬局」などと呼ばれていますが、別に病院が運営しているわけではなく「ただ近くにあるだけ」です。

病院で近くの薬局を紹介してくれることもありますが、単に患者さんの利便性を考えてのことで、営業でお金をもらったりしているわけではありません。

自宅に近いところ、職場に近いところなど、ご自身の利用しやすいところを自由に選べば良いと思います。

受付でのよくある疑問

新患アンケートって書かなきゃダメ?

病院でアンケート書かされて、待たされて、薬局でもアンケート書かされて、待たされて…

正直、面倒だな~と思いますよね。

アンケートの記入は義務ではないので断ることも出来ます。

ですが、書いてある質問等はどれもお薬を使用する上で重要な情報ですし、中には薬局が記録を義務づけられている項目もあります。

単に「面倒だ」という理由だけであれば、ご自身のためにも書いておいた方が良いと思います。

たとえば住所や電話番号。
個人情報を心配する方もいらっしゃると思いますが、患者さんの住所・連絡先・生年月日は、保険を使った調剤において、患者さんの服用歴(薬歴)に必ず記載しなければいけない項目のひとつです。

病院によっては処方せんに住所など記載している場合もありますし、いざとなれば薬局で調べて記入しますので、正直隠しても意味がありません。

どうしても嫌なら、全額自分で支払うしかないでしょうかね…

持病やアレルギーなどの情報も、お薬を出す上で非常に大切な情報で、場合によっては健康被害に繋がることもあるので、しっかり書いておくことをおすすめします。

もっとも、書いていなければお薬を渡す前に、必ず薬剤師から聞き取りがあるとは思いますが。

アンケートの記入は初めて薬局を利用するときだけですし、しっかり記入してあった方が、お薬の受け取りもスムーズに終わります。

調剤についてのよくある疑問

ジェネリック医薬品ってなに?

ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、新薬(先発品)の特許期間終了後に別のメーカーから発売された、同じ有効成分のお薬のことです。

研究開発費用が抑えられる分、新薬より価格が安くなるほか、元の薬よりも飲みやすくするなどの改良が加えられたものもあります。

ジェネリック=安物、偽物、品質が低いといった誤解も一部にありますが、効果が同等で価格も安く、各メーカーの様々な工夫でより使いやすいものが増えていますので、利用者にとってもメリットが大きいです。

ジェネリック医薬品について、詳しくは下記の記事で解説しています。

処方せんに書かれた薬を薬局で勝手にジェネリックに変えるのってアリなの?

アリです。

処方せんに担当医による「変更不可」などの表記がない限り、新薬の処方をジェネリックに変更できます。

むしろ国で推奨しているものなので、患者さんが特別に希望しない限り、ジェネリックに変えられるものは全て変えるのが現在のスタンダードです。

調剤しているお薬の中でジェネリックの割合が少ない薬局は、ペナルティとして収入が減らされるという怖いルールもあるので当然の流れではあります。

以前は「ジェネリックを希望する人は申し出てね」というのが基本スタンスでしたが、今は逆になってますね。

最近は薬の名前ではなく、薬の成分をあらわす「一般名」で書かれた処方せんが多いので、この場合も先発品・ジェネリックどちらを選んでもOK。

なので「処方せんに書いてある薬の名前と違う!?」と思っても焦らなくて大丈夫です。

処方せんって、じっくり見る機会の方が少ないと思いますが、お薬の名前の横に【般】と書いてあったら一般名です。

初めてかかる薬局の場合は、ジェネリックの希望について聞かれると思うので、こだわりのある人は最初に伝えておきましょう!

お薬をもらうとき(投薬)のよくある疑問

病院で説明してることをいちいち確認してくるのは何故?

「今日はどうされましたか?」「体調に変わりはありませんか?」「前回のお薬と変わっていますが先生からご説明は?」…等々。

病院でも説明したのにまた聞くのかよ!と思うかもしれませんが、これらは薬剤師が絶対に確認しなければいけない大事なことです。

処方せんに書かれた薬をそのまま出すだけが、薬剤師の仕事ではありません。

患者さんの状況を踏まえ、医師の処方が適切かどうか、処方変更は患者さんが納得した上で行われているかどうか、きちんと確認した上で必要に応じて医師に問い合わせを行っています。

日本では薬剤師の立場が軽視されがちで、患者さんも薬局の薬剤師より担当医の方を信頼して任せがちですが、実際のところお医者さんが処方を間違えることはかなり頻繁にあります。

場合によってはお医者さんが、その薬の正しい使い方を理解していないこともあります。

それ以外にも、別の病院で同じような効果の薬が重複して出ていないか、前に処方された薬がまだ残っていないかなども確認しなければいけません。

お薬を調剤して渡す薬剤師には、これら全てをチェックして、患者さんの安全を守る責任があります。

ご自身の健康を守るためにも、薬剤師とはきちんとコミュニケーションを取っておいた方が良いです。

「この薬減らして」と言ったらすごく待たされたんだけど?

これもご存じない方が多いのですが、ジェネリック医薬品への変更を除き、処方せんに書かれた薬の種類や数を、薬局で勝手に変えることはできません。

変更するためには担当の医師に電話やFAXで確認を取り、変更の許可をもらう必要があります。
担当の先生が忙しくてすぐに対応できなければ、返事が来るまで薬局では調剤ができません。

薬を減らしたり増やしたり、内容を変更する場合、通常は以下のような手順を踏んでいます。

  1. 担当の先生に確認
  2. パソコンへの処方入力のやり直し
  3. 説明文書や薬袋、お薬手帳などを差し替え
  4. もう一度薬を集め直す(場合によっては作り直す)
  5. 鑑査

これらの手順は、処方される段階で担当医の先生が把握していれば必要のないものです。

前回もらった薬が余っていたり、薬が合わなかったり、体調が変わった場合などは、病院・クリニック等を受診したときに必ずお医者さんに伝えておいてください。

会計、医療費について

薬局の医療費(調剤報酬)はどうやって決まる?

薬局でかかる医療費は、厚生労働省が定める「調剤報酬点数」に従って決められます。

施設ごとにもらえる基本料金が決まっているほか、お薬の値段、調剤にかかる技術料などが細かく指定されているので、お店のように「うちではこの値段でやろう!」というのを薬局で勝手に決められません。

細かいルールに従って料金を計算して出しているので、お会計にも少し時間がかかってしまうことがあります。

詳しい点数の内訳は、領収書や明細書に書いてありますので、気になったら一度チェックしてみると良いかもしれません(知識がないとちょっと難しいところもありますが…)。

参考:調剤報酬点数表(平成30年4月1日施行)/日本薬剤師会

同じ内容なのに、薬局によって値段が違うのはなぜ?

ひとつ前の項目で述べた通り、お薬の料金や技術料などに薬局による違いはありません。

ただし、処方内容に関わらず支払わなければいけない基本料金のようなものが、調剤薬局ごとに違います。

たとえば、大きな病院の近くにあって主に同じ病院の処方をたくさん扱う薬局(門前薬局)は、金額が少し安くなります。

地方で病院や患者さんが少ないところの薬局は、料金が少し高くなったりもします。

また、先に少し触れましたが、その薬局で出している薬がどのくらいジェネリックに変更されているかで、支払い金額が変わります。

他にも、その薬局が月にどのくらいの処方せんを扱っているか、そのうち同じ医療機関の処方せんがどのくらい集中しているかなど、薬局の状況に応じて定期的に見直しが行われます。

いろいろな要素が絡みますし、ちょくちょく変更もあるので「どこがお得」とはなかなか言いづらいですが、一般的には門前薬局の方が安いことが多いですね。

調剤基本料で見れば、負担額は変わっても十数円~50円未満なので、長く通うなら利便性や相性も考慮した上で薬局を選ぶのが良いと思います。

前回と同じ薬が同じ日数出てるのに、金額が違う。

薬局で支払う金額には、薬代や技術量以外にも様々なものが含まれており、同じ薬局で同じ薬が出されても金額が違うことはよくあります。

窓口での自己負担額に差が出る主な理由はこちら。

料金が変わる主な理由
  • 保険や福祉などの変更があった
  • お薬手帳を持参したかどうかで金額が変わる
  • 半年以内に同じ薬局を利用していると、金額が安くなる
  • 薬局の営業時間外や、夜間・休日に利用すると高くなる
  • 薬価(薬の値段)自体が定期的に変更される
  • 薬局ごとに定められている基本料が、変更になる場合がある
  • (ジェネリック医薬品の場合)同じ薬でもメーカーが変更になると金額が変わる場合あり

これらが全てではありませんが、よくある例を挙げてみました。

ただし、あまりにも金額が大きく違う場合は何かしら金額計算に問題がある可能性もあります。

少しでも気になることがあれば、遠慮なく窓口で聞いてみて下さい。
すぐに答えてくれたり、きちんと調べて丁寧に説明してくれる薬局は良い薬局だと思います。

逆にこれを面倒がったり、ちゃんと対応してくれない薬局は変えた方がいいかもしれません。
医療費にかかわる大事なことですので…。

まとめ

調剤薬局って、お薬を出してもらうだけの場所だと思ってしまいがちですが、実は患者さんが安全にお薬を使えるように様々なルールに添って運営しています。

そのため、簡単にお薬揃えてはいどうぞ、という訳にいかない事も多いです。

めんどくさい!さっさと薬だけもらって帰りたい!という気持ちはとてもよくわかるのですが、面倒な手順はミスや事故を防ぐためでもあったりするので、ご理解いただけたらと思います。

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